artとarts

会議出席(というか「傍聴」ですが)のため、サンフランシスコに行っていました。
行きはAmtrakで32時間ほどかけて、という、いつも以上に趣味に走った旅でもありましたが…

内容は、IRとEMについて、UCシステムの話も聞きつつ、日本の大学でどうしていこうか、といったような話です。なぜサンフラで…というところもありますが、けっこう上の方の先生方が集まっていろんな議論をしていらっしゃいました。
それなりにアメリカの制度もわかってきた身にしてみると、前提となる知識をもう少し整理した方がより充実した議論ができるかも、とか、日本の大学の人でも長くアメリカにいると、日本の人とちょっと話の前提がずれてしまっているかな、なんて思った部分もありますが、私は先生方の議論も、UCでやっている話も非常に興味深く聞いていましたし、おそらく先生方も刺激的な議論ができたと思っていらっしゃるのではないでしょうか。


いつもどおり、空き時間で美術館めぐりなどをしていたのですが、ちょっと郊外にある開館直後の美術館にて、いろんな美術品に囲まれながらひとり静けさを愉しんでいたら、ふとArtとArtsって、何がどう違うんだろう、なんていうことが頭に浮かんできたのです。
芸術と学術*1、すごくざっくり言ってしまえば、どちらも直接的には社会の役に立たないけれど*2、でも守っていかなければいけないもの。それがあるが故に「豊かさ」のような、数値では表せないし、目にも見えない何か大切なものを担保することができるもの、と言えるのではないでしょうか。

どちらかと言えば、芸術のほうが、お金をかけることについて、社会に受容されやすいように思います。*3芸術のほうが、「わからないけどすごさを感じる」というのを、より直感的に、primitiveに受容できるような気がします。
学問も、本質的には美術のそういう側面と同じものを持っていると思うのですが、どうしてもある程度は「理解」しないといけなくて、それが「すごさを感じる」手前にあるハードルになってしまっているのかも?

全然言語化できないのですが*4、美術品に囲まれて、ふとそんなことを思った…というか、感じたのです。そしてミュージアムショップでいっぱいお金を使ってしまい、こういうところで散財するのにはまったく抵抗ないなぁ、と思ったのも一因かもしれません(笑)*5


いろいろ美術館を回っていて、美術史をもうすこし、それからわかりやすい書籍があれば、美術におけるキリスト教の影響についてちょっと勉強してみたいな、と思いました。
ググったら*6こんな本が出てきたので、日本に帰ったら買ってみようかな。

イメージを読む (ちくま学芸文庫)

イメージを読む (ちくま学芸文庫)

*1:Artsを「学術」とするのはちょっと広すぎるかもしれないので、翻訳としては不適当かもしれませんが、言葉遊びということで。

*2:あくまで「ざっくり言えば」です。

*3:もちろん、大学予算と文化予算の規模の違いや日本の文化予算はまだまだ貧弱、といった話もありますが。

*4:アート系がわかる人とブレストしてみたいところですね

*5:もちろん、学問のほうでも然るべきところに僅かながらも寄附してはおりますが。

*6:もとの紹介はこちら