アメリカの大学院の中身(授業編・総論)

前回の続き。
秋セメスターは無謀なことに6コマも取っておりました。
大学院だと*11コマ3時間×15週で3単位(正確にはAcademic Senate Policyで1単位あたり40時間の学習量とされているらしく、15週3単位の場合は毎週2.5時間の授業と5.5時間の自習に相当するとのこと。8時間×15週=40時間×3単位ということですね。3時間のうちだいたい10〜15分の休憩を挟むので、ときどき早く終わることを加味しても少なくとも2.5時間の授業というのは確保されているように思います)が標準のようです。
で、6コマとなると、授業が18時間、自習の目安が33時間、合計で週の学習時間目安が51時間、土日含めて毎日休みなく勉強して1日7時間ちょっとということになりますw 週5だとすると、時間的には毎日2時間半残業するのに相当するでしょうか。大学院生なら言われんでもそのくらいは最低限やるでしょ、という話はありそうですが、どこまで行けば及第点なのかが全く見えない中で、しかも英語漬けでそれというのはなかなか厳しいところがありました…。相場観がわかっているからなのか、日本語だからなのか、はたまた一緒に仕事する相手がいるからなのかわかりませんが、毎日2時間半残業している方がよほど楽です*2

実際問題として5.5時間の自習というのには課題の文章を読む以上のことも期待されているのでしょうが、ノンネイティブからするとその時間でようやく課題を一通り読めるかどうかというところで、それすらも「効率的にこなして」どうにか予習が間に合う、という状況でした。
もちろん、いろんな課題が同時並行で迫ってくるわけでありまして、予習のほかにもプレゼンやったりペーパー書いたり、文字通り毎週のようにadditionalな出来事が起こります。ちょっとサボると本当に取り返しがつかなくなってしまうので、課題の締め切りは全部Googleカレンダーに突っ込んで、それと見比べながら、何曜日の午前中にはこの授業の予習して、午後はこれやって…という基本的なスケジュールをこなしつつ、とはいえ締め切りのある課題を最優先に終わらせていくというような、だいぶ綱渡りな3カ月半を過ごしていたように思います。

と、まあ、こう書くとノンネイティブだから大変なように見えますが、アメリカ人の学生からも6コマとかどうやって勉強してるんだ、とよく聞かれました*3。彼らは彼らなりに、きっちり深く予習してるからこその発言なのかなあ、という気もするのですが、TAやってるクラスメイトから、学部生は何十ページも予習してこいっていうと全然読んでこない*4、なんて話も聞いたので、実際のところはよくわかりません。

個別の授業については回を改めたいと思いますが、授業形式は思っていたほどにずっとディスカッションではない、というのは一つの発見でした。最初の授業とか、どうなることやら…と戦々恐々としていたのですが、歴史の授業だったこともあり、先生がずーっと話して(もちろん時折質疑応答は挟むのですが)3時間終了、という感じで、若干あっけにとられたくらいです。
もちろんそれは歴史の授業だからという部分はあるのですが、ほかの授業も徹頭徹尾ディスカッションということはまずなくて、ある程度導入の話をした上で小グループあるいはクラス全体でディスカッションをする、というパターンが多かったように思います。ただ、話が盛り上がると、もともと用意していたスライドを使わなかったり、授業の一部を後ろ倒しないしスキップしてでも学生同士のディスカッションを尊重するというのはどの先生にも共通した態度だったように思います。
もっとも、これは多くても25人くらいのクラスであるからこそできるわけで、学部にまでは一般化できないようにも思います。学部の授業は100人規模の教室でやっていることも多いように見受けられるので、そういう授業は(一部にはディスカッションも含まれるにせよ)いわゆるマスプロなのでしょう。おそらく学部でもゼミのような形で少人数クラスの機会は少なからずあるのだろうとは思いますが。

*1:少なくともうちのHigher Education Programでは

*2:ひょっとすると仕事の密度が低いんじゃねーかという話はあるかもしれませんが。。。

*3:とある教員からも、「6コマも取っていつ寝てんの?」と聞かれたことも。笑

*4:むろん学部生と院生では態度が違ってしかるべきなんですが