サウジアラビア奨学金の件(追加)

先日書いたサウジ奨学金の件(サウジアラビアの奨学金削減がアメリカの大学に与える影響 - 気が向いたら書く。)、Inside Higher Edが記事にしていましたのでご紹介までに。
Will U.S. colleges and universities see decline in Saudi-funded students?

少し前から奨学金の削減というか適正化というかの動きはあったようで、昨年末を境に比較してみると、すでにIEP (Intensive English Program:ノンネイティブが大学・大学院の授業を受ける前に通う大学附設的な英語学習プログラム)に来ているサウジ人学生の数が10-20%減少しているとのこと。
アメリカの大学もなかなか情報が入ってこなくてやきもきしている様子がうかがえます。Enrollment Managementの観点からも注目されているようで、記事の最後にはアイダホ州立大のEM担当副学長補(Associate VP)のコメントも紹介されています。

“These sponsored students come in paying the full out-of-state tuition rates. It’s not like oh, OK, well, we’ll make inroads with this other country that is looking to sponsor all their students to study abroad.”
In other words, he said, “there’s not a replacement for the niche that Saudi Arabia was holding.”

こういう状況も"niche"って言うんですね。「隙間」ってイメージが大きかったですが、適材適所の「適所」という意味もあるようで、ここでは後者でしょう。
やっぱり、out-of-state tuitionを、しかも(自腹じゃなく)国で払ってくれて、さらにすべての学生の面倒を見てくれるというのは大学にとってとてもおいしい存在ですよね…

あと、奨学金の中身がちょっとだけ上記記事のリンク先のロイター記事に載っていたのでご紹介。

In addition to covering the full cost of university tuition, the program usually gives recipients a monthly stipend and pays for them to take family members abroad with them. Women who receive the awards are required to travel with a male guardian, who also receives benefits.

Saudi tightens rules for scholarships to study abroad | Reuters

サウジってどうも女性をおよそ行為無能力者のように扱っている国のようなんですが、女性がひとりで外国に行くことはできなくて*1、男の身内(既婚なら夫、未婚なら男兄弟など)と一緒に行かないといけないし、逆に夫が留学するなら妻もついて行くのが当たり前のようです。
そうすると上記のような設計にせざるを得ないんでしょうね(それで女性の留学をあきらめさせるというのも不合理ですし*2)。
ふと、かつてIEPの同じクラスにいた、文字通り目以外を見せないブルカを着た奥さんと、たぶんその付き添いで来ている旦那さんがいて、彼の英語はちっともわかんなかったなあ、というのを思い出しました…。。

*1:そもそも単独の外出もダメっぽいですが

*2:シャリーア的にどうかはともかく